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被害者が死亡した場合の逸失利益の計算方法

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交通事故により被害者が死亡した場合に求める損害賠償請求の為の逸失利益の計算方法は以下の通りです。

有職者または就労可能者の場合

基礎収入額×(1-生活費控除率)×労働能力逸失期間に対応するライプニッツ係数

18歳未満の未就労者の場合

基礎収入額×(1-生活費控除率)×(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数)

死亡者の状況に応じた生活費控除率

死亡者が生きていた場合には当然生活費がかかりますので、被害者が死亡した場合の逸失利益の計算をする時には、その生活費分を一定の基準に基づいて控除します。控除率は以下の通りです。

死亡者の状況 生活費控除率
一家の支柱 被扶養者1人の場合 40%
被扶養者2人以上の場合 30%
一家の支柱以外の男性 50%
一家の支柱以外の女性 30%

有職者または就労可能者が死亡した場合の逸失利益の計算例

有職者または就労可能者の方は、賃金センサスによる平均賃金よりも実収入の方が高ければ、実収入を基礎収入額として採用します。ここでは実収入が平均賃金よりも低かったとして、平成26年度の平均賃金を用いる事にします。

死亡した被害者は28歳、独身男性で大卒の場合に適用される企業規模計の平均賃金は、賞与を含めて435万2200円です。独身男性の生活費控除率は50%です。

労働能力逸失期間に対応するライプニッツ係数は死亡者が28歳で就労可能年数は39年なので17.017が適用されます。

これらの数値を計算式に代入すると、

  • 4352200×(1-0.5)×17.017=37030693

となりますので、3703万693円が死亡した場合の逸失利益の基準額になります。

18歳未満の未就労者が死亡した場合の逸失利益の計算例

18歳未満の未就労者の方は実収入がありませんので、賃金センサスによる学歴計の男女別または全労働者平均賃金を基礎収入額として採用します。

死亡者を16歳の女子高校生とした場合の平成26年版の全労働者平均賃金は479万6800円です。そして一家の支柱ではない女性ですので、生活費控除率は30%となります。

続いて、67歳までのライプニッツ係数と18歳に達するまでのライプニッツ係数をライプニッツ係数表を参考にして確認します。67歳までと言うのは事故当時の年齢16歳から67歳までの事ですので、

  • 67-16=51

となります。16歳の時の就労可能期間は51年で、ライプニッツ係数を確認すると18.339と言う事が分かりました。

18歳に達するまでのライプニッツ係数についても同様の求め方をしますので、

    18-16=2

となります。16歳の時の18歳までの就労可能期間2年におけるライプニッツ係数は1.859となります。

これらの数値を計算式に代入すると、

  • 4796800×(1-0.3)×(18.339-1.859)=55335884

となりますので、5533万5884円が死亡した場合の逸失利益の一つの基準額になります。基礎収入額のもととなる平均賃金の考え方については死亡者の状況に応じて変わりますので、もし全労働者平均賃金よりも低い金額が採用された場合には求められる逸失利益は低くなります。

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