交通事故により後遺症が残った場合に求める損害賠償請求の為の逸失利益の計算方法は以下の通りです。
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力逸失期間に対応するライプニッツ係数
基礎収入額×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数)
有職者または就労可能者の後遺障害の逸失利益の計算例
有職者の方は原則として事故前の実収入を基礎収入額としますので、ここでは仮に事故前の実収入額を600万円として計算してみましょう。尚、被害者の年齢は35歳で性別は男性、後遺障害等級は1級~14級の中の14級とします。
後遺障害の逸失利益の計算に必要な基礎収入額は分かっていますので、次に後遺障害等級に応じた労働能力喪失率を調べます。ちなみに後遺障害等級14級の労働能力喪失率は5%です。
35歳の方の労働能力逸失期間に対応するライプニッツ係数は15.803です。
これらの数値を計算式に代入すると、
- 6000000×0.05×15.803=4740900
となりますので、474万900円が後遺障害の逸失利益として損害賠償請求する時の基準になります。
今回は実収入を基礎収入額として計算しましたが、実収入が賃金センサスの平均賃金よりも下回っている場合には賃金センサスの平均賃金を採用します。
18歳未満の未就労者の後遺障害の逸失利益の計算例
被害者は12歳の女性で、後遺障害等級8級として逸失利益の計算をしてみましょう。18歳未満の未就労者の方は実収入がありませんので、賃金センサスの平均賃金を基礎収入額として計算に使用します。
被害者は女子ですので、賃金センサスで公表されている女子労働者学歴計全年齢平均賃金を採用します。平成26年度の女子労働者学歴計全年齢平均賃金は364万1200円でした。
次に後遺障害等級に応じた労働能力喪失率を調べます。ちなみに後遺障害等級8級の労働能力喪失率は45%です。
続いて、67歳までのライプニッツ係数と18歳に達するまでのライプニッツ係数を確認します。67歳までと言うのは事故当時の年齢8歳から67歳までの事ですので、
- 67-8=59
となり、就労可能期間59年のライプニッツ係数を確認すると18.876と言う事が分かりました。
18歳に達するまでについても同様で、
- 18-8=10
となりますので、就労可能期間10年のライプニッツ係数は7.722となります。
これらの数値を計算式に代入すると、
- 3641200×0.45×(18.876-7.722)=18276275
となりますので、1827万6275円が後遺障害の逸失利益として損害賠償請求する時の基準になります。