後遺障害等級に応じた労働能力喪失率は、労働省労働基準局長通牒に記されている基準値を参考にして損害賠償額の計算式に用いる事があります。労働能力喪失率は、損害賠償をめぐる裁判でも使用される事があります。
それぞれの等級に該当する後遺症の程度につきましては、以下のリンク先ページをご覧ください。
労働省労働基準局長通牒に記されている労働能力喪失率の基準値については以下の通りです。
等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
1級 | 100% |
2級 | 100% |
3級 | 100% |
4級 | 92% |
5級 | 79% |
6級 | 67% |
7級 | 56% |
8級 | 45% |
9級 | 35% |
10級 | 27% |
11級 | 20% |
12級 | 14% |
13級 | 9% |
14級 | 5% |
労働能力喪失率に対する疑問
労働能力喪失率は後遺障害等級に応じて一定の割合が設けられていますが、本当の喪失率と乖離している感じは否めません。と言うのも、実際に後遺症を負った人の職場環境や能力によっては、設定されている喪失率が多すぎたり少なすぎる事もあるからです。
例えば、片方の手の親指を交通事故の被害によって失った人は後遺障害10級に該当するので、労働能力喪失率は27%ですが、指圧マッサージを生業としている人とパソコンでキーボードを打っている人では、親指の重要度は大きく変わります。
指圧マッサージ師は最も力が入る親指を酷使しますので、逆に言えば親指がないと全く仕事になりません。労働能力喪失率的には50%まではいかないにしても、45%ぐらいは考慮してほしい所です。
パソコンのキーボードを打つ時は親指をほとんど使いませんので、そこだけで考えれば労働能力喪失率はもっと低くても良いような気がします。
裁判では裁判官が労働能力喪失率について判断を下す
後遺障害を負った人の労働環境によっては、労働能力喪失率表に記載されている割合が必ずしも適当ではない事があります。このような場合には裁判所の判断を仰ぐのが普通です。
但し、裁判所としては、何の基準もなければ裁判官によって労働能力喪失率の判断にバラツキが生じてしまいますので、客観的な基準として労働省労働基準局長通牒に記されている基準値を参考にしています。