交通事故・交通違反を起こした時には、刑事責任・行政責任・民事責任の3つの責任の中から該当した責任を全て果たす必要があります。
それぞれの責任の取り方の流れとしては、以下の通りです。
- 刑事裁判・略式手続等を経た後に、罰金・懲役・禁錮などの刑事処分が下される。
- 罰金を国に支払う。
- 交通違反の種類に応じた点数が違反者本人に付けられて、一定の基準点数を上回った場合には免許の効力の停止や取消などの行政処分が下される。
- 罰金を国に支払う。
- 交通事故による損害賠償額を、示談・調停・訴訟などによって取り決めを行い、自動車保険の保険金や加害者の実費負担によってまかなう。
- 賠償金を被害者に支払う。
刑事責任の取り方
刑事責任は、主に罰金・懲役・禁錮などの罰則に従う事でその責任を果たします。交通事故を原因として相手方を死傷させた場合には、刑事裁判や略式手続によって刑事罰が決定される事になります。
罰則の重さは、交通事故直前における加害者の運転状況や、事故後の対応に左右されます。事故後に負傷者を救護する為に救急車を呼んだり、警察を呼んで事故の適切な処理をしておけば、死亡事故を起こした場合でも執行猶予付きの判決になることがあります。
逆に、救護活動をせずに現場から逃走してしまうと、緊急措置義務違反として人身事故であれば5年以下の懲役または50万円以下の罰金、物損事故であれば1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。
運転者が信号無視やスピード違反をした事で事故につながったような場合には、過失運転致死傷罪が適用されて、7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金を科せられる事もあります。
また、飲酒運転や暴走行為などの明らかに危険な運転をして相手方を死亡させた場合には、1年以上の有期懲役となります。
行政責任の取り方
行政責任は、道路交通法に基づく点数制度の処分基準による自動車運転免許の効力の停止や取消処分を受けたり、道路交通法違反の反則金を行政に納める事で、その責任を果たします。
点数制度による処分は行政が行う処分なので本人の特別な手続きを必要としませんが、反則金につきましては納付手続きが必要となります。
もし、通告書と納付書の交付を受けたにもかかわらず反則金を支払わなかった場合には、家庭裁判所の審判によって刑事責任を問われる事になります。
民事責任の取り方
民事責任は、自動車損害賠償保障法と民法に基づく事故の過失割合に応じた損害賠償金を被害者に納める事によって、その責任を果たします。
損害賠償額には一定の基準はあるものの、算定する人によってそのとらえ方は様々なので、一般的には保険会社と交通事故の当事者で示談と言う話し合いの場を設けて、そこで取り決めを行います。
示談で話がまとまらない場合には、調停や訴訟と言う紛争を解決する道もあります。調停は事故の当事者の間に第三者が入って、双方が納得できるように仲を取り持ちます。
調停でも話がまとまらない場合には、訴訟を起こして裁判による解決を目指します。裁判には弁護士を立てる費用が掛かる他、膨大な時間を消費しなければならないというリスクと覚悟が必要となります。