一般的にひき逃げと言われている行為は、道路交通法上の「救護義務違反」にあたります。救護義務違反の違反点数は35点ですので、たった1回の違反で運転免許が取り消しになります。
また、反則金の納付による罰則の免除制度は設けられていませんので、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑になります。
交通違反の種類 | 違反点数 | 反則金 | |||||
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通常 | 酒気帯び | 大型 | 普通 | 二輪 | 原付 | ||
0.15mg以上 0.25mg未満 |
0.25mg以上 | ||||||
救護義務違反 | 35点 | 反則金はなく、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(※1) | |||||
(※1)但し、事故の原因が運転者の運転に起因する場合で相手が死亡した時は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金になります。 |
救護義務違反は特定違反行為に分類される違反なので、免許取り消し後に新たに免許を取得できるまでの欠格期間が最低でも3年あります。
⇒自動車運転免許取消処分を受けた人が新たに免許を受ける事が出来ない期間
ひき逃げ(救護義務違反)だけでは済まされない事がほとんど
ひき逃げになると言う事は人身事故であると言う事が言えますので、行政処分は救護義務違反の違反点数だけで済まされる事があまりなく、別途交通事故の付加点数が加わります。
交通事故の付加点数は死傷の度合いや不注意の程度に応じて点数が定められており、傷害事故なら2点~13点、死亡事故なら13点または20点となります。
また、飲酒運転をしていた場合のひき逃げ(救護義務違反)になると、違反点数が更に加算されますので、欠格期間が10年になる事も珍しくはありません。
違反の種類 | 違反点数の範囲 | 欠格期間の範囲(最低限) |
---|---|---|
ひき逃げ(救護義務違反) | 35点 | 3年 |
ひき逃げ+傷害事故 | 37~48点 | 3年~5年 |
ひき逃げ+傷害事故+酒気帯び運転(0.15mg~0.25mg) | 50~61点 | 6年~8年 |
ひき逃げ+傷害事故+酒気帯び運転(0.25mg以上) | 62~73点 | 8年~10年 |
ひき逃げ+傷害事故+酒酔い運転 | 72~83点 | 10年 |
ひき逃げ+死亡事故 | 48点または55点 | 5年または7年 |
ひき逃げ+死亡事故+酒気帯び運転(0.15mg~0.25mg) | 61点または68点 | 8年または9年 |
ひき逃げ+死亡事故+酒気帯び運転(0.25mg以上) | 73点または80点 | 10年 |
ひき逃げ+死亡事故+酒酔い運転 | 83点または90点 | 10年 |
過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪に問われた場合
あまりにも悪質と判断されたひき逃げの場合は、救護義務違反よりも罪の重い過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪で起訴される事があります。救護義務違反と過失運転致死傷罪・危険運転致死傷罪のそれぞれの罰則については以下の通りです。
救護義務違反 | 【負傷】5年以下の懲役又は50万円以下の罰金 【死亡】10年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
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過失運転致死傷罪 | 7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金 |
危険運転致死傷罪 | 【負傷】15年以下の懲役 【死亡】1年以上の有期懲役 |