適正な車間距離を保っていない場合は、車間距離不保持(通称:あおり運転)として検挙される事があります。車間距離不保持は走行している道路によって処分内容が異なります。
反則金を納めなかった場合の罰則は、高速自動車国道等車間距離不保持の場合が3月以下の懲役または5万円以下の罰金で、通常の車間距離不保持の場合は5万円以下の罰金となっています。
交通違反の種類 | 違反点数 | 反則金 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
通常 | 酒気帯び | 大型 | 普通 | 二輪 | 原付 | ||
0.15mg以上 0.25mg未満 |
0.25mg以上 | ||||||
高速自動車国道等車間距離不保持 | 2点 | 14点 | 25点 | 1万2000円 | 9000円 | 7000円 | |
車間距離不保持 | 1点 | 14点 | 25点 | 7000円 | 6000円 | 6000円 | 5000円 |
車間距離には明確な規定はありませんが、基本的な考え方としては後方を走る車がブレーキを踏んで前方の車にぶつからずに済む距離が最低限度の車間距離と言う事になります。
従いまして、雨や雪が降る日、暗いトンネル内、見通しの悪い道路などでは自分の判断でいつもより車間距離をあけるなどの工夫が必要になります。
高速道路での適正な車間距離
車間距離に明確な基準はありませんが、高速道路では走行スピードと同じだけの車間距離をあけておくのが一般的です。例えば80kmで走行していれば車間距離は80m、100kmで走行していれば車間距離は100mといった具合です。
高速道路には車間距離を確認する為の区間が設けられていますので、標識を参考にして適正な車間距離を保てるように調整するといいでしょう。しかし、車間距離確認区間まで行かずとも車間距離を確認する方法があります。それは、レーンマークで確認する方法です。
車線の区画線として路面に引かれている白色の点線は長さが8mと決まっており、白線の間隔が12mですので、1セット20mとして考えれば4セットで80m、5セットで100mになります。車間距離確認区間以外の所ではレーンマークを活用するようにしましょう。
一般道路での適正な車間距離
車は停止するまでに、ブレーキを踏むまでの空走距離とブレーキを踏んでから停止するまでの制動距離の2つの距離がかかります。時速20kmであれば空走距離が6mで制動距離が3mと言われていますので、停止するまでの距離は9mとなります。
つまり、時速20kmで走行する場合の適正な車間距離は約10mと言う事が言えます。時速30kmから60kmの場合は、速度から15を引いた数値が停止距離に近い数値になっていますので、「速度-15>」を目安にすると良いでしょう。
速度 | 空走距離 | 制動距離 | 停止距離 |
---|---|---|---|
20km | 6m | 3m | 9m |
30km | 8m | 6m | 14m |
40km | 11m | 11m | 22m |
50km | 14m | 18m | 32m |
60km | 17m | 27m | 44m |
一般道路では高速道路とは違って車間距離確認区間と言うものがほとんどありませんので、路面に引かれているレーンマークで確認をするようにしましょう。一般道路のレーンマークは白線の長さが5m、白線の間隔が5mですので、1セットあたり10mで計算する事が出来ます。
レーンマークがない場所では、前車が通過した地点に自分の車が到達するまでの時間で計算する事も出来ます。具体的な時間と距離につきましては、以下の表の通りです。
速度 | 時間に応じた車間距離 | ||
---|---|---|---|
1秒 | 2秒 | 3秒 | |
20km | 6m | 12m | 18m |
30km | 8m | 16m | 24m |
40km | 11m | 22m | 33m |
50km | 14m | 28m | 42m |
60km | 17m | 34m | 51m |
時間で車間距離を計るときには、目印となる看板や標識を前車が通過した時点を「ゼロ」とし、そこから「イチ」「ニ」「サン」と数えるようにしましょう。時間を数えるスピードは人それぞれなので、自信のない人は4秒以上を車間距離の目安にした方が良いかもしれません。
車間距離不保持(あおり運転)が原因で相手を死傷させた場合
相手が自分にとって危険な運転をした時や、急いでいるのに追い越しが出来ない時に、ついイラッとして車間距離を詰めてからバッシングをしたり、クラクションを鳴らすなどのあおり運転をする人がいます。
あおり運転はそれをしている本人がただ気持ち良くなるだけの行為であって、されている方は恐怖を感じている事も多々あります。人は強く恐怖を感じると正常な判断が出来なくなりますので、あおり運転をされた事が原因で交通事故を起こすのは珍しくありません。
もし、あおり運転が原因で相手が事故をして、死亡したり傷害を負った場合には、あおり運転をした運転手に対して危険運転致死傷罪が適用される事があります。危険運転致死傷罪には罰金や科料はありませんので、懲役刑は確実と思った方が良いでしょう。
危険運転致死傷罪 | 相手が負傷 | 15年以下の懲役 |
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相手が死亡 | 1年以上の有期懲役 |