損害賠償を請求する権利を持つ人のことを「賠償請求権者」と言います。賠償請求権者は賠償義務者に対して請求することができます。
賠償請求権者になれる人は以下の通りです。但し、全員が賠償請求権者になれるわけではありません。
- 被害者
- 相続人
- 配偶者・子・父母
- 被害者の使用者
- 近親者
- 内縁の妻
- 損害を受けた財物の所有者
- 損害を受けた財物の正当な利用権者
傷害事故の時に賠償請求権利者になれる者
傷害事故の時に賠償請求権利者になれる者の一例をあげると以下のようになります。
- 被害者本人
- 治療費を支払った近親者
- 被害者の重大な傷害によって精神的苦痛を被った近親者
- 被害者である使用人に休業中の給与を立替払いした使用者
特に説明不要かもしれませんが、被害者本人は損害賠償のうち、財産的損害・精神的損害の両方を請求することができます。
治療費を支払った近親者は支払った治療費の部分だけを請求することができます。
精神的苦痛を被った近親者は損害賠償のうち、精神的損害として慰謝料を請求することができます。
被害者の使用者というのは被害者が勤めている会社の社長のような雇用主の事を言い、保険会社や加害者から被害者に休業損害が支払われる前に、それに相当するものを立て替えて支払った使用者は賠償請求権利者になれます。
死亡事故の時に賠償請求権利者になれる者
死亡事故の時に賠償請求権利者になれる者の一例をあげると以下のようになります。
- 相続人
- 被害者の死亡によって精神的苦痛を被った相続人ではない遺族
- 葬儀費や死亡までの治療費を立替払いした遺族
- 被害者に扶養されていた者で相続人とならなかった者
- 被害者に死亡に至るまでの休業中の給与を立替払いした使用者
被害者が死亡した場合、賠償請求権は相続人に相続されるので、死亡した被害者の逸失利益や慰謝料を請求することができます。
被害者の死亡によって精神的苦痛を被った遺族は慰謝料を、被害者が死亡するまでの治療費や死亡した後の葬儀費を立て替えで支払った遺族は、立て替えて支払った部分を請求することができます。
被害者に扶養されていたものと言うのは、例えば事実婚状態になっている内縁の妻や、内縁関係にある夫婦から生まれた子供のことです。
被害者に扶養されていたもので一定の条件を満たすものであれば、遺族と同等の賠償請求をすることができます。
休業損害に相当する給与を立て替えて支払った被害者の使用者は、立て替えた分を請求することができます。
物損事故の時に賠償請求権利者になれる者
物損事故の時に賠償請求権利者になれる者の一例をあげると以下のようになります。
- 損害を受けた財物の所有者
- 損害を受けた財物の正当な利用権者
例えば車が損傷したとき、それが運転者本人の車なら運転者が、レンタカーだったらレンタカー会社が賠償請求権利者になれます。
所有者と利用者が異なる場合は、所有者に認められた利用者であれば賠償請求権利者になれます。