逸失利益とは本来得られるはずだった利益が債務不履行や不法行為によって得られなくなった部分の利益の事を言います。
逸失利益は損害賠償を構成している項目の一つで、大分類すると「債務不履行に基づく逸失利益」と「不法行為に基づく逸失利益」の2つにあります。
交通事故における逸失利益はこの2つのうちの「不法行為に基づく逸失利益」が大半を占めており、違法でなくても不法であれば逸失利益の賠償責任が生じることになります。
交通事故における逸失利益の種類
交通事故における逸失利益の種類は以下の通りです。
被害者が死亡した場合と後遺障害が残った場合に逸失利益が生じます。計算方法はそれぞれ異なりますが、逸失利益の損害賠償額が高くなりやすいのはそれぞれ以下のような人です。
逸失利益の損害賠償額が高くなりやすい人 | |
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死亡の場合 | 後遺障害の場合 |
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どちらにも共通しているのが基礎収入額の高さと年齢です。平均収入が多いパイロット・医師・大学教授の方の逸失利益が高くなるのは容易に想像できます。
ですが基礎収入額が不明な学生の方であっても、その将来性などから逸失利益が高額になることもあります。
交通事故における逸失利益の計算方法
交通事故における逸失利益の計算方法は以下の通りです。
被害者の状態 | 死亡 | 後遺障害 |
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有職者または就労可能者 | a×(1-b)×c | a×c×f |
18歳未満の未就労者 | a×(1-b)×(d-e) | a×(d-e)×f |
a = 基礎収入額 b = 生活費控除率 c = 労働能力逸失期間に対応するライプニッツ係数 d = 67歳までのライプニッツ係数 e = 18歳に達するまでのライプニッツ係数 f = 労働能力喪失率 |
基礎収入額は被害者が有職者であれば被害者の確定申告書に記載されている収入額を、そうでなければ賃金センサスによる平均賃金をもとにします。
生活費控除率は死亡者が生きていればかかったであろう生活費を30%~50%の割合で控除します。
ライプニッツ係数は利益を逸失した期間を金銭に換算する方法で、係数表を照会することで難しい計算を省略することができます。
労働能力喪失率は後遺障害等級に応じて5%~100%の割合が設けられています。