人身事故の損害賠償を構成しているものは被害者の「逸失利益」「治療に係る費用」「入院に係る費用」「看護料」「休業損害」「慰謝料」や被害者の家族の方への「慰謝料」です。
- 逸失利益
- 治療に係る費用
- 入院に係る費用
- 看護料
- 休業損害
- 慰謝料
それぞれの損害賠償金額の考え方は以下の通りです。
逸失利益
逸失利益とは被害者が事故にあったことで失ったであろう利益のことで、その金額の根拠になるのは被害者の年齢・年収・性別・態様(ケガ・後遺障害・死亡)になります。
被害者の年収が高ければ損害賠償金額も高額になるのは理解しやすいと思いますが、被害者が中学生や高校生であっても態様によっては損害賠償金額が高額になります。
⇒被害者が死亡した場合の逸失利益の計算方法
⇒被害者が後遺障害を負った場合の逸失利益の計算方法
例えば17歳の高校生の男性が被害者だったとして、彼が死亡した場合の逸失利益を平成26年度のデータを基にして一般的な計算方法で計算すると「4738万5634円」になります。
もし死亡せずに後遺障害が残って等級が1級だった場合の逸失利益は「9477万1269円」になります。
今回の計算方法だと後遺障害等級が1級だった場合は死亡したときの2倍の逸失利益になりました。
態様には「傷害」「後遺障害」「死亡」の3種類がありますが、逸失利益は被害者が死亡するよりも等級が高い後遺障害が残ったほうが高額になりやすいようです。
治療に係る費用
治療に係る費用には治療を受けるための通院交通費、医師の診断書等の書類作成費等が含まれます。
治療費・通院交通費・診断書類作成費は自賠責基準ですと実費が全額補償対象となっています。
入院に係る費用
入院に係る費用には入院費のほかに入院中に必要な雑費が含まれます。
自賠責基準で言いますと、入院中に必要な雑費につきましては1日あたり1100円が補償対象になっています。
看護料
医師が治療のために看護が必要と認めた方や12歳以下の子供に対して、自賠責基準では一定額の看護料が補償対象になっています。
通院の方に対する看護料は1日あたり2050円、入院の方に対する看護料は1日あたり4100円です。
休業損害
休業損害は自賠責基準で1日あたり5700円~1万9000円となっています。
慰謝料
慰謝料には被害者本人に対する慰謝料と被害者の家族に対する慰謝料があります。
被害者本人に対して支払われる慰謝料は「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つがありますが、被害者の家族に支払われるのは「死亡慰謝料」だけです。
慰謝料の種類 | 入通院慰謝料 | 後遺障害慰謝料 | 死亡慰謝料 |
---|---|---|---|
被害者本人 | ● | ● | ● |
被害者の家族 | ● |
被害者の方がリハビリや検査などの治療に費やした時間を入通院慰謝料として計算します。
自賠責保険での計算基準でいうと入通院1日あたり4200円ですので、もし入院が長期に渡ってしまい3000日だったとすると4200×3000=1260万円もの入通院慰謝料が生じることになります。
後遺障害慰謝料は等級別に相場があり、自賠責保険基準で考えると1級の場合で1100万円が後遺障害慰謝料となります。
死亡慰謝料には本人に対するものとご遺族に対するものの2種類があります。
自賠責基準の死亡慰謝料は被害者(死亡者)本人に350万円、ご遺族の方(請求権者)に550万円~950万円となっています。
死亡者本人は慰謝料を受け取ることができませんので、死亡者本人への慰謝料は相続人が受け取ることになります。