自動車保険の仕組みをわかりやすく解説しています。

任意自動車保険と自賠責保険の違い

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任意自動車保険は自分の意志で加入することができる保険、通称:任意保険で、自賠責保険は自分の意志とは関係なく車の所有者に加入が義務付けられている強制加入の保険、通称:強制保険です。

任意自動車保険と自賠責保険の大きな違いは補償内容の選択肢の広さです。

自賠責保険は補償額や補償範囲が固定されているので、これら以外の補償やサービスを選択できる余地はありません。

⇒自賠責保険の補償額の上限

これに対して任意自動車保険は加入者が補償額や補償範囲を選択することができたり、特約で保険会社に示談交渉のサービスや弁護士費用の負担を付帯することができます。

その他の違いについては以下の項目で比較してみます。

  • 保険の種類
  • 保険料
  • 保険期間
  • 補償の対象者
  • 補償額
  • 加入率

保険の種類

比較項目 任意自動車保険 自賠責保険
保険の種類
  • 対人賠償保険
  • 対物賠償保険
  • 自損事故保険
  • 搭乗者傷害保険
  • 人身傷害補償保険
  • 無保険車傷害保険
  • 車両保険
  • 対人賠償保険

自賠責保険には対人賠償保険しかないので物損や自損についての補償は一切ありませんが、任意自動車保険には対人賠償をはじめとして対物、自損事故、搭乗者などの様々な賠償に関して保険を掛けることができます。

保険料

比較項目 任意自動車保険 自賠責保険
保険料 補償範囲や補償額によって数千円~数十万円まで様々 自動車の種類によって差はあるけど一定額

任意自動車保険は自分で補償範囲を決めることができるので、その補償範囲や補償額によって保険料が増減します。

また運転者の年齢や等級と呼ばれるシステム、それから保険会社によっても保険料が異なりますので、同じ補償内容でも各保険会社の保険商品を比較・検討することが重要です。

自賠責保険は自動車の種類によって保険料は変わりますが、運転者の年齢や等級、加入する保険会社によって保険料が変わるようなことはありません。

⇒自賠責保険の保険料【平成28年度】

保険期間

比較項目 任意自動車保険 自賠責保険
保険期間 1か月単位、1年、2年、3年、それ以上 1か月単位、1年、2年、3年

任意自動車保険の保険期間は通常1年契約で、毎年更新するのが普通です。

ですが長期契約のほうが保険料が安くなったり、契約期間中は等級が変わらないという特性があるので、加入者の考え方で保険期間を選択することができます。

ちなみに最長で選べる保険期間は本記事執筆時点では損保ジャパン日本興亜の7年です。ただし保険料は一括払いのみとなっています。

一方で自賠責保険は自動車の車検期間に合わせて契約するのが普通です。ですから車検期間が2年の自動車なら自賠責保険も2年契約にして、車検時に自賠責保険も更新するのが一般的です。

ただ、車検と自賠責保険の効力が切れる時間差によって無保険(自賠責保険の効力が切れている)状態となってしまうリスクがあるので、それを避けるために1か月余分に自賠責保険に加入したほうが安心です。

⇒自賠責保険の保険期間

補償の対象者

比較項目 任意自動車保険 自賠責保険
補償の対象者 自動車の所有者、運行供用者 自動車の所有者、運行供用者

任意自動車保険も自賠責保険も補償の対象者は被害者ではなく、どちらかというと加害者となります。

これは保険契約の際に不特定多数の被害者を被保険者(給付を受ける人)にすることが難しいので仕方がありません。(保険契約約款に「第三者のための契約」と解される記載があれば別ですが・・・。)

基本的な損害賠償の流れとしては、加害者が保険金を受け取ってそれを被害者の損害賠償請求に当て込むことになります。

この時にあってはならないことですが、加害者側が損害賠償請求に対して求償をしてくれないということもあります。

もしそのようなことになれば治療に係る様々な費用を被害者が負担しなければなりません。これでは被害者があまりにもかわいそうです。

しかし自賠責保険の場合は被害者の救済が大きな目的としてあるので、加害者を通さずに直接的に保険会社に損害賠償の請求をすることができる被害者請求という制度を利用することができます。

この被害者請求という制度ですが、残念ながら任意自動車保険にはありません。

補償額

比較項目 任意自動車保険 自賠責保険
補償額 対人・対物は無制限の補償が一般的。他はピンキリ。 対人賠償のみ補償。傷害で最大120万円、後遺障害で最大4000万円、死亡で最大3000万円。

自賠責保険の補償額は上限がハッキリと定められています。

一方で任意自動車保険は対人・対物の補償は無制限である(にする)のが一般的で、多額の賠償請求にも対応が可能です。

任意自動車保険で加入できる車両保険や自損事故保険の補償額は有限なのが普通で、少額の賠償については免責(補償なし)にして保険料を下げたりします。

加入率

比較項目 任意自動車保険 自賠責保険
加入率
  • 対人賠償保険・・・73.8%
  • 対物賠償保険・・・73.8%
  • 搭乗者傷害保険・・・34.0%
  • 車両保険・・・43.2%
  • 人身傷害保険・・・67.0%
ほぼ100%であるはず

任意自動車保険の対人賠償保険への加入率は全国平均73.6%(平成27年3月末時点)で、都道府県別の加入率トップは大阪の82.2%、最下位は沖縄の53.3%となっています。

都道府県によって加入率に差はありますが、その地域の自動車の多さや土地柄というのが反映されているのかもしれません。

⇒自動車保険 都道府県別加入率 – 日本損害保険協会 | SONPO(外部サイト)

自賠責保険は一部の自動車を除いてほとんどの場合で加入が義務付けられているので、加入率はほぼ100%にならなければなりません。

自賠責保険に加入していない状態で自動車を走行させると無保険運行で罰せられることがあります。

⇒無保険運行の違反点数・反則金・罰金

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