自賠責保険と政府保障事業の違いは以下の通りです。
比較項目 | 自賠責保険 | 政府保障事業 |
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補償限度額 | 自賠責保険、政府保障事業とも同じ。補償範囲についても同じ。 | |
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※但し、政府保障事業の場合は社会保険給付が優先になり、それでも補償額に足りない場合に政府保障事業に対して不足分を請求することができます。 |
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減額対象過失割合 | 過失割合がいくらからでも過失相殺になる。 | 7割以上の重過失のみ減額対象。 |
請求権者 | 加害者、被害者 | 自賠責保険が適用されない被害者 |
請求の種類 | 本請求、仮渡金請求、一括払い請求 | 本請求 |
保険金の出どころ | 自賠責保険の保険料から。 | 自賠責保険の保険料から一旦支払い、その後で政府が加害者に支払った額を請求する。 |
親族間(同一生計)の事故 | 補償あり | 原則として補償なし |
請求権の時効 | 3年。自賠責保険、政府保障事業とも同じ。 ※但し、自賠責保険には時効の中断があり、政府保障事業には時効の中断がありません。 |
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支払いまでの平均処理期間 | 約1か月 | ひき逃げ事故が約4か月、無保険事故は約7か月前後 |
補償限度額について
自賠責保険と政府保障事業の補償限度額は同じで補償範囲についても同じです。
後遺障害の場合は身体に残った障害の程度と介護の必要性に応じて75万円~4000万円の範囲で限度額が変化します。
減額対象過失割合について
自賠責保険の場合は過失割合に応じて給付される保険金額が減額(過失相殺)されますが、政府保障事業の場合は過失割合が7割以上の重過失であった場合にのみ給付額が減額となります。
請求権者について
請求権者が未成年者の場合は親権者等が請求者になります。請求権者が委任をした場合は委任を受けた者が請求者になります。
請求権者が死亡した場合は法定相続人および慰謝料請求権者が請求者になります。請求者が複数存在する場合はそのうちの一人が代表請求者になります。
請求の種類について
自賠責保険には仮渡金請求が認められているので補償額が確定になる前でも請求が可能ですが、政府保障事業の場合は本請求しか認められていないので補償額が確定してからでなければ請求することができません。
保険金の出どころについて
当たり前のことですが、自賠責保険が適用される場合は自賠責保険の保険料から支払われます。
そして実は自賠責保険の保険料の中には賦課金という名目の費用も含まれており、この賦課金の部分が政府保障事業のてん補金として賄われています。
自賠責保険が適用されない被害者に対して政府保障事業のてん補金が支払われた後は、そのてん補額を加害者から回収します。
親族間(同一生計)の事故について
自賠責保険では被害者が親族であっても補償がありますが、政府保障事業の場合は原則として補償の対象外となっています。
但し、加害者が死亡し、被害者がその法廷相続人で相続放棄をしており、尚且つ被害者が請求者の場合は例外的にてん補されます。
請求権の時効について
自賠責保険、政府保障事業ともに時効は3年で、自賠責保険にだけは時効の中断があります。
請求区分は「傷害」「後遺障害」「死亡」の3つがあり、それぞれ請求権を行使できる開始日が異なります。
⇒政府保障事業の請求区分と時効完成日
⇒自賠責保険の請求区分と時効完成日
支払いまでの平均処理期間について
自賠責保険であれば保険金の請求から支払いまでは1か月程度で済みます。但し事故調査等に時間がかかる場合はその分だけ支払い時期が延びることになります。
政府保障事業の場合は最低でも4か月程度はかかり、長ければ1年ぐらいかかることもあります。