任意自動車保険であれば、その任意自動車保険と言う保険商品を取り扱っている保険会社が保険料の管理を行いますので、以下のような図式が成り立っている事が容易に想像できます。

任意自動車保険のシステム
請求権利者
保険料
保険会社

保険金
請求権利者
保険料

保険金

しかし、自賠責保険は政府の特別会計の一つである自動車安全特別会計で管理されていますので、通常考えられるような図式ではなく、以下のような図式によって成り立っています。

自賠責保険のシステム
請求権利者
保険料
保険会社
または
協同組合

保険料の提供
自動車安全特別会計
(共同プール)

保険金

保険金の配分
請求権利者
保険料

保険料の提供

保険金

保険金の配分
請求権利者
保険料
保険会社
または
協同組合

保険料の提供

保険金

保険金の配分
請求権利者
保険料

保険料の提供

保険金

保険金の配分

このように、保険会社及び協同組合が相互間で共同して保険料や保険金の管理を行う仕組みを共同プール事務と言います。共同プール事務については自賠法第28条の4第1項に以下のような記載があります。

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【自動車損害賠償保障法】
第三章 自動車損害賠償責任保険及び自動車損害賠償責任共済
第三節 自動車損害賠償責任保険事業及び自動車損害賠償責任共済事業
(共同プール事務)
第二十八条の四  保険会社及び組合(責任共済の契約の締結により負う共済責任の全部を他の組合に再共済する契約を締結した組合及び当該再共済の契約の締結により負う再共済責任の全部を他の組合に再再共済する契約を締結した組合を除く。以下この条において同じ。)は、次の各号に掲げる方法により、相互間で共同して、保険料、保険金等の計算、配分及び徴収をする事務(以下この条において「共同プール事務」という。)を行うものとする。
一  責任保険の保険料その他この法律の規定により保険会社が収受したもの又は責任共済の共済掛金、再共済の再共済掛金若しくは再再共済の再再共済掛金その他この法律の規定により組合が収受したものから、第七十八条の規定により政府に納付したもの並びに保険会社の責任保険の事業を行うための費用(保険料から将来の保険金の支払に充てられると見込まれるもの及び同条の規定により政府に納付すべきものとされるものを控除した残額をいう。)又は組合の責任共済の事業を行うための費用(共済掛金、再共済掛金又は再再共済掛金から将来の共済金、再共済金又は再再共済金の支払に充てられると見込まれるもの及び同条の規定により政府に納付すべきものとされるものを控除した残額をいう。)を控除した残額を、次項の規約において保険会社及び組合別に定める割合(以下この条において「配分率」という。)に応じて保険会社及び組合に対して配分すること。

私達が保険会社や協同組合に支払っている自賠責保険の保険料のうち、保険金にあてられる純保険料率の部分はひとまず共同プールに提供されます。

そしてその提供された保険料は配分率に応じて、各保険会社や協同組合に配分されます。配分率は、前年度の純保険料率の納付実績や運用資産額等から算出されています。

自賠責保険のノーロス・ノープロフィットの原則

自賠責保険は被害者の保護を目的とした社会保障的な面を持つ強制保険ですので、営利を目的とせず、適正原価主義によって保険事業が営まれています。

このような事業の態様ですから、ノーロス(No Loss=損失なし) ・ノープロフィット(No Profit=利益なし)の原則などと呼ばれており、自賠責保険の運営全般に関して、この原則が用いられています。

政府が業務委託をしている保険会社や協同組合に対しては、損失を与えないけど利益も与えませんので、企業としてはうまみはないけど手堅い商売であると言えます。

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